
以前に
姉妹ブログで、ネットワーク・オーディオを導入したことを書きましたが、休日に一日中部屋に流れるインターネット・ラジオ局を聞きながら知らないアーティストを開拓する楽しみが増えました。
ある休日の昼下がり。うとうとしながらブルーグラス専門局
Bluegrass Mixを聞いていると、まさに天使の声に相応しい歌声が聞こえてきました。アーティストと曲名をチェックしたら、Claire Lynch - Dear Sisterと表示されています。
初めて聞く名前です。可憐で甘い歌声に忽ち虜になってしまいました。
Dear Sisterの歌を聞いていると、主題が戦場からの手紙であることは判るのですが舞台はどこでしょうか。
同じような主題の歌ではベトナム戦争を題材にしたDixie Chicksの
Travelin' Soldierが思い浮かびますが、クレア・リンチの歌からは「Stone River」とか「Union Boys」とかの言葉が出てきます。そうです。この切なく美しい歌の舞台は、南北戦争の激戦地だったのです。
ストーン・リバーの戦い(Battle of Stones River)は、テネシー州マーフリーズボロ(Murfreesboro)近郊で1862年12月31日から1863年1月2日におこなれ、両軍合わせて23,515名の死傷者、行方不明者を出した南北戦争の激戦でした。
歌詞の中でUnion Boys(北軍)が歌うのはHail Columbia。南軍が歌うLook Awayは 「I Wish I Was In Dixie」のことだと思いますが、1862年12月30日、両軍は僅か700ヤード(約640m)しか離れていない場所で野営をしていました。凍える陣地で歌の応酬をして、両軍の兵士が最後にHome, Sweet Home(日本では埴生の宿ですね)を合唱するのは史実の通りです。
少し調べると、クレア・リンチはソングライターでもあり、このDear Sisterは、Louisa Branscombとの共作だそうですが、
Louisa Branscombのホームページを見ると更に興味が涌きます。
南北戦争に従軍したBranscomb家の4兄弟がアラバマにいる妹Lucinda Caroline Branscombに送った数多くの手紙を、1991年に子孫が発見しました。これは、
Dear Sister: Civil War Letters to a Sister in Alabamaとして纏められ2002年に発行されるのですが、Louisa Branscombは、この史実を題材にクレア・リンチと共にブルーグラスの歌にしたのでした。
勿論、この歌の視点は、南軍-アメリカ連合国(Confederate States of America)です。
ところで、クレア・リンチは2013年に3回目のIBMA(International Bluegrass Music Association)の
Female Vocalist of the Yearを受賞しています。
ホームページに詳しいのですが、クレアリンチは、1954年生まれ。70年代から音楽活動をしている大ベテランなのですね。
手に入る彼女のCDを買ってじっくりと聞いてみたいと思います。
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